産業:

Public Sector

場所:

Tasmania, Australia

タスマニア大学 (UTAS) は1890年に開校したオーストラリアで4番目に歴史の古い大学です。同校はオーストラリアの大学の中でもとりわけ多くの表彰を受けており、また世界規模での大学評価でも上位2%にランクインしています。こうした評価は、UTASが広範な学問分野にわたって高水準の教育を提供していることの裏付けとなるものです。タスマニア大学の4つのキャンパスには、3万3,000人以上の国内外からの学生に加えて、2,600人の教職員が在籍しています。

課題

数万人規模のITユーザーを有するUTASは、IT関連の問題や要求に対する応答性を向上する必要がありました。UTASには、ITチームが提供しているサービスの内容や利用方法をユーザーに効率よく伝達する仕組みが存在していませんでした。またヘルプデスクは手動で管理されており、教職員や学生は電話やメールで、あるいはIT部門に直接出向いて支援を求めていました。
そのためITに問題が発生してネットワークやデータにアクセスできない場合、教職員や学生への影響は長時間にわたり、ヘルプデスクチケットが受領したチケットがクローズされるまでには平均5日間を要していました。
この点について、UTASでエンタープライズサービス/ネットワーク担当マネージャーを務めるNathan Tenaglia氏は「私たちはユーザーが発行したヘルプデスクチケットを記録し、問題の進捗状況を追跡できる仕組みを必要としていました」と述べています。

「また可能であれば、ユーザーがヘルプデスクチケットを提出する前に、まずは自力で問題を解決するためのナレッジベースを構築したいと考えていました。さらにユーザーが利用可能なサービスを調べたり、サービスを要求したりするための仕組みとして、サービスカタログの作成も望んでいました」

「とりわけ深刻だったのが問題解決に要する時間の長さです。応答性を改善するために私たちは処理のスピードアップに役立つソリューションを求めていました」

「私たちはユーザーが発行したヘルプデスクチケットを記録し、問題の進捗状況を追跡できる仕組みを必要としていました」

Nathan Tenaglia タスマニア大学 エンタープライズサービス/ネットワーク担当マネージャー

ソリューション

UTASのITチームは、ヘルプデスクのために導入すべきソリューションについて、徹底した調査を実施しました。その結果、ユーザーにセルフサービス機能を提供可能なポータルの構築が最善であると早期に判断しましたが、ITチームにとって既存のシステムの複雑化は望ましいものではありませんでした。

Tenaglia氏は次のように述べています。「私はServiceNowの機能に注目していました。そこでServiceNowを積極活用している米国オハイオ州立大学に連絡を取り、同大学のプロジェクトマネージャーから実装状況について話を聞いたところ、この人物の満足度が非常に高かったため、本校でもServiceNowをベースとしてポータルを設計することを決断しました。私たちはServiceNowの推奨に従って、同社のパートナー企業の1つに提案依頼書 (RFP) を提出しました」

このRFPを受け取ったDXC Fruition(DXCテクノロジーグループ)は、UTASの目標を達成するため提供可能なサービスについて同校に説明しました。

Tenaglia氏は当時を次のように振り返ります。「RFPに対するDXC Fruitionの回答から、同社が本校の求めているセルフサービスポータルの構築に必要な経験を保有していることは明らかでした。またDXC Fruitionの専門家との協議でも、UTASにとってこれが正しい選択であることを確認できました。さらに作業に着手する前のDXC Fruitionチームとの対話も、私たちに好印象を抱かせるものでした。DXC Fruitionのチームは本校に必要なスキルとノウハウを有し、その姿勢は非常にフレンドリーかつプロフェッショナルでした」

UTASの要望に応えて、DXC Fruitionは、ServiceNowを基盤とするサービスポータルを実装しました。このポータルにアクセスする約40,000人の教職員/学生は、ナレッジベースを使用して問題を自力で解決できるようになり、さらにサービスカタログを介して利用可能なサービスを調べたり、サービスを要求したりすることも可能になりました。

ユーザーは提出したチケットの対応状況を簡単に追跡できるようになり、チケットがオープン状態の間は、ITチームに対するコメントを追加することも可能です。またITチームからのコメントをユーザーが見ることも可能なため、解決プロセス全体にわたって、オープンかつ一貫性のあるコミュニケーションが維持されます。

「RFPに対するDXC Fruitionの回答から、同社が本校の求めているセルフサービスポータルの構築に必要な経験を保有していることは明らかでした」

Nathan Tenaglia タスマニア大学 エンタープライズサービス/ネットワーク担当マネージャー

ベネフィット

このポータルは実装以来、IT部門との主要な連絡手段として電子メール以上に活用されるようになり、このことがUTASに大きなメリットをもたらしています。

具体的には、毎週平均350件のチケットがポータルを介して提出されており、これは登録されたチケット全体の約40%にあたります。サービスポータルを利用しているユーザーの数は、週平均1,800人に達しています。

この点についてTenaglia氏は次のように述べています。「大多数のユーザーがサービスポータルを利用するようになったことで、サービスデスクへの電話とメールが大幅に減少しました。またユーザーがセルフサービス機能に慣れてきたことで、ITチームは多くの単純作業から解放されて、より価値の高い業務に専念できるようになりました」

「サービスポータルによって私たちの作業環境は一変し、ユーザーは問題をまずは自力で解決しようとするようになりました。また問題を解決できなかった場合も、ユーザーからポータルを介して提供されるフィードバックは、ITチームがナレッジベースを改善するうえで貴重な情報となります」

「私たちはいくつかの新しい拡張機能を追加することでポータルの利用をより一層促進し、将来的にはメールによるサービスデスクへの連絡を廃止したいと考えています」

サービスポータルによって、ユーザーが利用可能なサービスを把握しやすくなったことで、サービスの利用も増加しています。これはITチームにとって非常に喜ばしい成果です。

Tenaglia氏は次のように説明します。「私たちは提供しているサービスを教職員や学生により有効活用してもらうことを望んでいました。以前はこれらのサービスについてさまざまな手段で伝達していたものの、情報が集約されておらず、ある場所の情報が別の場所の情報と矛盾していることも少なくありませんでした。今ではあらゆる情報が一元管理されており、ユーザーは利用可能なサービスを調べるだけでなく、サービス要求のステータスも確認できるようになりました」

「一例として本校では、Microsoft Office 365をすべての教職員および学生用にプロビジョニングしており、各ユーザーは最新バージョンのOfficeを最大10台の任意のデバイスにダウンロード可能です。しかしながら以前は大多数の教職員と学生がこのことを認識していなかったため、せっかくのライセンスが有効活用されていませんでした。サービスポータルが導入されて以降、このサービスの利用率は著しく向上し、サービス自体の価値に加えて、サービスポータルの価値を裏付ける結果となっています」

サービスポータルを実装したことで、ITに問題が発生した際のユーザーの負担も軽減されました。以前はチケットを提出したユーザーに対しては、ITチームから多数のメールが送信されていました。とりわけITチームがそのユーザーに何らかの特別な作業を実行してもらう必要がある場合に、メールによって必要な情報を伝達するのは簡単ではなく、何度もメールをやり取りしていました。

そのためITチームが個々のユーザーに電話をかけて、問題解決に必要な作業を説明しなければならないケースも少なくありませんでした。今では、ユーザーはポータルにアクセスしてチケットのステータスを調べ、ITチームからの指示を受け取ることができるようになりました。

Tenaglia氏は「DXC Fruitionによって実装されたサービスポータルにより、ユーザーの満足度の向上と既存リソースの活用を目的とする戦略の推進が可能になりました」と述べています。

「プロジェクトの開始から完了までにかかった期間はわずか5ヶ月でした。私たちはプロジェクトチームを立ち上げて、まずは要件を明確化しました。また言語の設定が重要であるとの認識のもと、使用する言語の決定を支援するために教職員と学生で構成される作業部会を編成しました。この取り組みは、使いやすく理解しやすいシステムを実現するうえで欠かせないものでした」

Nathan Tenaglia タスマニア大学 エンタープライズサービス/ネットワーク担当マネージャー

Plans

タスマニア大学ではServiceNowの利用を拡大する計画を立てており、一例としてライブチャット機能の追加によるさらなる効率化を目指しています。

さらにTenaglia氏は次のように説明します。「本校には現在、正式な資産管理システムが存在していないため、資産管理モジュールの追加を計画しています。このモジュールはポータルに統合されて、ユーザーはアップグレードや交換が必要な時期といった自分の資産に関する情報を確認できるようになります。こうした情報を頻繁に問い合わせる必要がなくなることで、ユーザーは時間を大きく節減でき、また必要な情報を即座に入手できることはマネージャーによる予算管理や計画立案にも役立ちます」

「さらに私たちはシステムステータス監視モジュールを追加して、ユーザーが各自のシステムの健全性をチェックしやすくすることも検討しています」

DXC Fruitionは、迅速かつ円滑な実装プロセスにより、わずか5ヶ月でこのプロジェクトを完了しました。

この点についてTenaglia氏は次のように述べています。「プロジェクトの開始から完了までにかかった期間はわずか5ヶ月でした。私たちはプロジェクトチームを立ち上げて、まずは要件を明確化しました。また言語の設定が重要であるとの認識のもと、使用する言語の決定を支援するために教職員と学生で構成される作業部会を編成しました。この取り組みは、使いやすく理解しやすいシステムを実現するうえで欠かせないものでした」

「DXC Fruitionによるプロジェクト管理は実に素晴らしいものでした。私たちは2~3日に1回の公式なミーティングに加えて、臨時のミーティングも毎日実施することで、コミュニケーションを継続することに努めました。その結果、大きなトラブルに遭遇することなくポータルをスムーズに導入できました」

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