場所:

ハウロング 、オーストラリア

ニューサウスウェールズ州の美しいマレー河川域に本拠を置くStaughton Group は、オーストラリアの製造業界をダイナミックにリードする革新的な急成長企業です。食材や小売業界の取引企業に、エンドツーエンドの生産物流ソリューションを提供する同グループは、4 つの主要事業部門と複数のブランドを通じて、ペット用のドライフードと加工肉食品を製造し、自社ブランドまたは顧客のプライベートブランドとして販売するほか、原材料をグローバルなペットフード業界に供給しています。

Staughton Groupはオーストラリア最大のペットフード用原材料サプライヤーとして、南半球最大のペット用加工食品の熱乾燥施設を備えた最新の製造工場で世界最高水準の高品質な製品を24 時間365 日体制で生産しています。同グループはそうした製品をオーストラリア国内の小売業者に広く供給するだけでなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界10 カ国に輸出もしています。

「私たちにとって必要な技術を熟知している DXCは、今回私たちが何を求めているかを深く理解してくれました。DXCを選定する方針はすぐに決まりました。選考委員会の全員が、DXCであれば安心して任せられると感じたからです」

Emma Birney氏 Staughton Group セールスオペレーション&プランニング部長

ビジネス上の課題

この数年間、飛躍的な成長を遂げてきた Staughton Group は今後も拡大路線を邁進することに意欲を燃やしています。その一方で、製造する製品の種類と数量が増えるにつれ、管理が複雑になり、事業運営が年々難しくなってきています。Coles社 、 Woolworths社、Aldi社といった重要な新規顧客からは、より厳格な品質管理やコンプライアンス要件の順守を求められており、Staughton Group がこれまで使用してきた MYOB や時代遅れのレガシーシステムではもはや対応できなくなってきていました。

各ビジネス機能間で統合できる領域が限定的で、それらをサポートするアプリケーションも互換性がなく、手動で実施せざるを得ないプロセスでは多くの問題が発生していました。正式な購買システムがなく、将来の購買計画を立てるためのデータの可視化が進んでおらず、発送した製品を請求書に紐づける自動処理機能がないため、請求書を作成するだけでも複数の手順(と3名の人的リソース)が必要でした。また、製造管理に必要な製品追跡情報を得るためのトレーサビリティが不十分な上に、複雑なコスト計算や小売販売注文管理には Microsoft Excel が使用されていました。このように、全般的に複数のユーザーが使用するシステム間でプロセスを適切に管理する体制になっていませんでした。

Staughton Groupのセールスオペレーション&プランニング部門を統括する Emma Birney 氏は次のように語ります。「当社の事業は急拡大しており、私が5 年前に入社した時には7名しかいなかった事務担当スタッフが、今では 100人以上に増えています。当時、米国の製造業者向けに供給する製品の出荷量は、週に40 フィートのコンテナ1台か2台分しかなかったのが、今では35 台から 45台分に急増しています」

そこでStaughton Group は、自社の IT 環境をモダナイズし、各事業オペレーションを統合して自動化させ、革新的な戦略を推進して次の成長フェーズに移行できるようにするソリューションを提案、実装してくれるパートナーを探すことにしました。

「 Staughton Groupには、コラボレーションを重んじる素晴らしい企業文化が根付いています。社内 の皆さんは親しみやすく、何事にもプロフェッショナルに対応し、率直な意見交換ができます。こうした人たちと協働体制を組むことができたおかげで、問題が発生してもすぐに対処でき、大きな成果を上げることができました」

Richard James DXC Australia & New Zealand Practice for Oracle担当ディレクター

ソリューション

当初、Birney氏は外部コンサルタントに、ベンダー各社から提案されたソリューションの評価作業の協力を依頼しました。いくつかの理由から、クラウドソリューションだけを検討対象にすることにしました。頻繁に停電が発生する小さな田舎町に本社を構えているため、オンプレミスのシステムを採用した場合、万が一停電が起きると、複数サイトで各種業務に携わっているすべてのスタッフに計り知れない影響が及びます。その上、同社のITチームは限られた数の人員しかいないため、運用の負荷が軽減できるクラウドソリューションはとても魅力的に映りました。Birney氏はこの点について次のようにコメントしています。「以前、停電が起きた時に大きな問題に直面しました。クラウドソリューションを採用すれば、工場がダウンしたとしても、その付近に住んでいない社員の大多数は、何ら影響を受けずにリモートで業務を続行できます」

包括的な要件定義が完了した後、 500種類のツールが評価対象となり、Staughton Group は ベンダー50社に対して関心表明(EOI)を発行しました。各社からの提案を検討した結果、2社のソリューションが最終選考に残り、その中でStaughton Groupが選んだのは、業界を熟知し、 ERP の実装やクラウドへの移行実績が豊富で深い専門知識を持つ DXCが提案した Practice for Oracleでした。DXCは、このソリューションを通じてOracle Cloud Infrastructure (OCI)上にJD Edwards EnterpriseOne(JDE)とカスタム Java アプリケーションを実装し、信頼性と拡張性に優れたビジネスプラットフォームを提供することを計画しました。この提案についてBirney氏は次のように述べています。「私たちにとって必要な技術を熟知している DXCは、今回私たちが何を求めているかを深く理解してくれました。DXCを選定する方針はすぐに決まりました。選考委員会の全員がDXCであれば安心して任せられると感じたからです」

 

実装

ハイレベルな設計作業は当初オンサイトで行っていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う安全規制により、詳細な設計から構築、テスト、実装、トレーニング、そして本番環境への移行に至るまで、すべてリモートで実施されました。

従来のデータは最適な形式ではなかったため、データ移行プログラムを安定させるのに時間が掛かりました。また、オンサイトで急速に変化するインフラストラクチャにリモートで対処するのも手間取りました。Birney氏は次のように回想しています。「私たちが今回携わることになったのは、自社のIT機能を飛躍的に向上させる一大プロジェクトでした。社内のITチームは経験の浅いメンバーが多く、このようなERP実装プロジェクトにそれまで関わったこともなかったので、非常に良い経験を積むことができました。まず取り掛かった作業は、マスターデータを一から作り上げることでした。手持ちのデータも多くなかったので、適切なデータを取得することが非常に重要でした。読み込み作業を何度も繰り返しているうちに、どこでエラーが発生するかが次第に分かるようになってきました」

DXC Australia & New Zealand Practice for Oracleの担当ディレクターであるRichard Jamesは次のように述べています。「 Staughton Groupには、コラボレーションを重んじる素晴らしい企業文化が根付いています。社内 の皆さんは親しみやすく、何事にもプロフェッショナルに対応し、率直な意見交換ができます。こうした人たちと協働体制を組むことができたおかげで、問題が発生してもすぐに対処でき、大きな成果を上げることができました」

 

結果とメリット

クラウドベースのソリューションは、Staughton Groupのビジネスプロセスの効率化、自動化、統合をエンドツーエンドで実現しました。その結果 Staughton Group は、 1 つのプラットフォームでビジネスをプロアクティブに管理するという最新のユーザー体験を得られるようになりました。この変革により、システムを手動で操作するタスクを不要にし、ワークアラウンドやサイロ化したソリューションも排除できる、単一の統合 ERP ソリューションが約 105 人の指定ユーザーと 30 人のモバイルデバイスユーザーに提供されました。

これまで同グループのビジネスプロセスは非常に煩雑で実用的ではありませんでした。事業統括責任者であるEdward Staughton氏は次のように述べています。「私たちは今ようやく自社のIT基盤を適切に整備し、社員がそれぞれ必要なことを実行できる体制が整いました。これですべての事業部門の可視化が進み、レポートを通して状況を正確に把握できるようになりました。その結果として、成長を加速させる多くの可能性が私たちの前に広がることになると確信しています」

このプラットフォームは、財務、購買、在庫管理、製造、生産計画、 販売、価格設定など、様々な部門の作業効率を高め、生産現場や倉庫で使用されるモビリティ機能を強化できるようにしました。主要な改善点として、次のような成果が得られました。

  • 財務実績と指標の可視性の向上
  • リアルタイムレポートの加速化、プロセス管理の強化、各担当者の説明責任・当事者意識の向上
  • 在庫を移動させても追跡し続けられるよう、モビリティ機能を強化
  • 受注した品目や発送した製品を請求書に紐づける自動処理機能により、請求書発行の複雑さを軽減
  • 価格設定の手動チェック回数の低減(以前は 3 回、現在は 1 回)
  • 異種システムを管理するための人員の急増を抑え、限られたリソースをより効率的に活用

「私たちは今ようやく自社のIT基盤を適切に整備し、社員がそれぞれ必要なことを実行できる体制が整いました。これで すべての事業部門の可視化が進み、レポートを通して状況を正確に把握できるようになりました。その結果として、成長を加速させる多くの可能性が私たちの前に広がることになると確信しています」

Edward Staughton氏 Staughton Group 事業統括責任者

Birney氏 によると、モビリティ機能の強化によって生産現場でいくつかの作業ステップが不要になったことについて、次のように述べています。「この機能強化は非常に嬉しいです。以前は、サードパーティ製の倉庫管理ツールで最終製品を管理していたのですが、在庫を間違った場所に配置するエラーが頻出していました」物理的な在庫の置き場所を適切に管理できるようになっただけでなく、製品品質の追跡やトラッキング用の標準部品表(BOM)を利用できるようになったことも、Staughton Groupにとっては大きな前進でした。また、この機能強化により、特に輸出事業に重要な監査およびコンプライアンス要件にも迅速に対応できるようになりました。生産チームと在庫チームは、コンピューターを使う事務作業が大幅に減り、そのために割いていた時間を、顧客の要求に合わせてコンテナを時間通りに出荷できるようにする、といったより重要な業務に充てられるようになりました。

事務担当スタッフも、業務の簡素化を実感できるようになりました。たとえば、売掛金と買掛金プロセスを効率化し、例外扱いにする会計処理案件を容易に確認できるようになったのは非常に大きな成果です。以前の彼らにはそのような余裕が全くなく、絶えず隠れた情報を探し、データを変更したり修復したり、頻繁に発生する異常の原因分析などに追われていました。「今から 6 か月後に、どのユーザーも半年前を振り返りながら『何て仕事がやりやすくなったんだろう』と実感する様子が目に浮かびます」とBirney氏は言います。

今回のプロジェクト全体について、Birney氏は次のように総括します。「DXC の知識、専門技術、献身的な姿勢から判断して、提案通りJDE EnterpriseOne on Oracle Cloud Infrastructure に移行するのはコスト効率の面からも非常に有益な決断であることは明らかでした。このプロジェクトは、途中からリモートで対応する必要に迫られたり、経験の浅い社内チームとの調整が必要だったにも関わらず、DXC は画期的なトランスフォーメーションを成し遂げてくれました。また、実務面で大きな変化が伴うため、トレーニングは大変でしたが、この面でもDXCのサポートが最後まで行き届いていました。DXCがこのプロジェクトのために提供してくれた チームとプロセスは、これ以上褒め言葉が見つからないぐらい見事でした」

事業統括責任者のEdward Staughton氏は次のように述べています。「当社は、オーストラリアで築いた IP と技術を活用して世界中で通用すると確信できるベストプラクティスを確立し、国内外の市場でビジネスの成長を追求し続けてきました。これからは企業として更に前進するために、市場投入までの商品化のスピードや柔軟性をこれまで通り維持しながら、システム、人材、プロセスを継続的にアップグレードしていこうと考えており、今回のプロジェクトもその流れの一環です」

「DXC の知識、専門技術、献身的な姿勢から判断して、提案通りJDE EnterpriseOne on Oracle Cloud Infrastructure に移行するのはコスト効率の面からも非常に有益な決断であることは明らかでした」

Emma Birney氏 Staughton Group セールスオペレーション&プランニング部長

今後

コアビジネス用のソリューションを通じてIT基盤を適切に整備するだけでなく、 DXC は現在も継続的なマネージドサービスを Staughton Group に提供し、将来のアプリケーション機能拡張の可能性についても検討しています。これらの補完的なソリューションには、 Salesforceの自動化、インテリジェントな輸送管理、設備の予防保全や業界をリードする人的資本管理機能などのオプションが含まれています。

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